都内の密集した住宅地の一角、ビルの1階に6年前に開院された小児科クリニックは、患者数の増加によりスペースに限界をきたし、同敷地に新たなクリニックを建替えることになった。

小児科クリニックに加え、区からの委託事業である病児保育、そしてオーナーの住宅を併設させている。

約40坪の敷地を、容積率、斜線制限ぎりぎりまで有効に活用し、狭さを感じさせない空間づくりを心掛けた。

開放的で明るい3層分の吹抜けをクリニックの中心におき、受付、待合、処置室などから吹抜けのところどころに顔を出すような仕組みにすることにより、楽しげな雰囲気を演出しつつ、2層で構成されている待合、診察ゾーンに一体感をつくっている。厳しい敷地条件からは想像し難い、ダイナミックな空間を実現することができた。

住宅は、クリニックでの診療を終えた院長夫妻のくつろぎや気分転換の場となるよう、落ち着きのある内装とし、クリニックとは違う趣を持つ吹抜が、家族の生活空間の中心となっている。