「しもだてメディカルポート」は、下館病院(精神科198床)の関連施設として、JR下館駅から徒歩3分ほどの敷地に、メンタルクリニック、歯科クリニック、精神科デイケア、重度認知症患者デイケア(シルバーデイケア)、の4施設のコンプレックスとして完成した。市街地の中心において地域の人たちとの関係を大切にし、地域に開かれた精神科医療の、まさにポート(拠点)としての役割を担うべく建設された。特にシルバーデイケアはこの地域では初めての施設であり、ますます需要の高まる高齢社会に於いて、認知症の方々に適切な対応をとるための重要な施設となってくる。

建物は、三方を道路に囲まれた敷地形状に合わせて、ふたつの軸線を組み合わせたクリニック棟部分とデイケア棟部分に分かれており、その2棟を大きく弧を描いたデッキでつないでいる。デッキは緩やかにカーブした道路に向かって開かれており、地域に開かれた新しい精神科医療施設を象徴する形となっている。

周辺の住宅地になじむように2層に押さえた建物の、1階には車椅子でのアプローチも考慮してシルバーデイケアを配し、接地した空間で穏やかに過ごしてもらえるようにしている。人目を気にせず気軽に訪れられるようプライバシーに配慮し、2階には精神科デイケアとメンタルクリニックを設置し、両者の連携をとりやすくしてある。1階の道路に面したところには地域の人たちに一番なじみやすい歯科クリニックを配している。

敷地北側には増築余地を残し、刻々と変貌していく医療環境に適切に対応できるようにした。