兵庫県芦屋市の高級住宅街に建つ二世帯が住むことができる戸建て住宅です。

過去に一度も建築行為がなされることがなかった急傾斜道路に接する台形の傾斜敷地であり、地盤は、強固ながら1mを超える玉石が多く含まれるため、設計・工事ともに困難を極めました。しかし、施主のあふれんばかりの熱意と担当の根気強い対応によって、設計開始から3年9ヶ月の時間を要して完成に至りました。

街区の地区計画規制により、建物は2層までと定められていますが、急傾斜を生かし、実質3層構成とし、瀬戸内海から大阪の町並みまでを遠望できるこの土地の最大の魅力を生かすことを大命題としました。

急傾斜地のため室内から地盤面を感じることができる場所は限られますが、生活の各場面で豊かな緑と風を感じながら広やかな印象となるよう、内外空間をあいまいにし、各場面がおだやかに連続する構成としました。

使い心地の良い空間配置と家具設計、高断熱・床下暖房を採用することで熱効率の良い合理的な機能性にも配慮しています。瀟洒な住宅が立ち並ぶ地域にふさわしい風情を持ったシンプルかつ大胆な構成と繊細なデザインを心がけました。