群馬県立精神医療センターは医療観察法に基づく指定入院医療機関です。プロポーザルでは、既設からの増床に伴い、独立配置型の増築として、これからの医療観察法病棟における多様な治療やプログラムを支える建築としての提案が求められました。

現在の精神科医療において、入院偏重の医療から地域の中で社会復帰を目指す医療が主流となりつつあります。しかし、医療観察法病棟は完全に治療が終わり社会性を取り戻すまで退院はできないため、1年半から2年の間を病院内の閉鎖空間で過ごさなければなりません。ゆえに、長期間にわたる治療、社会復帰プログラム、入院生活に対して相応しい環境を安全に提供し、対象者とスタッフがこれを選択できる空間構成をつくりだすことが建築のテーマであると考えました。