共同建築設計事務所 KYODO ARCHITECTS & ASSOCIATES

受賞歴

医療福祉建築賞

医療福祉建築賞は、優れた医療福祉建築を顕彰し、それを広く世に知らせることによって、これらの施設の質の向上をはかることを目的として定めるものである。 優れた医療福祉建築とは、建築として質が高いことに加えて、利用者側ならびに職員側にとって快適で使い勝手がよいことを条件とする。すなわち中身と器が調和し、いずれにおいても優れていることを意味するものとする。 ※1991年に病院建築賞として創設された本賞の名称は、1995年から医療福祉建築賞に改称された。
長野県立こころの医療センター駒ヶ根
精神科病院 中部 2012

2012年受賞

選評

アプローチから見ると、絵葉書を見るかのように、アルプスの山々を背景に設計者も設計を楽しんだと想像される美しい建物であった。県立病院という硬いイメージ・精神病院の暗いイメージ・厳しい動線分離からの脱皮、見通しのためのどこまでも真直ぐな廊下からの脱皮など、精神病院のイメージを大きく変える施設である。

病院のイメージを最初に決定づける玄関ホールは、トップライトや中庭もあり、レンガの壁も取り込んだ半屋外的な空間でどこまでも明るく、患者も家族も区別なく落ち着く小さなスケールでありながら、空間を大きく感じさせていた。その一方で、緊張しているであろう初診患者の待合が他の人からストレートに見えない配慮など、全体的に、細かく密度高く設計されている。病棟は、個室中心(75%)であるが、4床室も各ベッドに窓のある個室感覚であり、分散配置されたデイルームからは外の光が入り、外の風景を眺めることができ、長い廊下のイメージから脱皮してアットホームである。

設計趣旨の説明では、「地域に帰るための病院」「敷居の低い地域に開かれた病院」が主題となっていたが、既に病院が地域の中にあるような感じである。デイケア部分は空間構成上も職員配置上も充実しており、運営的にも設計主旨が実践されていた。精神病院ならではの治療空間としての共用空間・中庭などの質の高さが印象的であり、これらの空間が患者の生活に生かされていると感じられた。

自然素材の多用などによる長寿命化やレンガによる外断熱、メンテナンスコスト低減への工夫など、建築の今日的課題にも応えている。

岐阜県立多治見病院
一般病院 中部 2011

2011年受賞

選評

627床の県立病院の内、460床の病棟部分を中心に改築した計画である(竣工時は独立行政法人でなかった)。今回応募作品の中でも唯一の部分改築の事例であったが、これからは重要な計画要件となることが予想される。

病院側としては2期に渡る整備計画であったが、プロポーザルで1期の整備を提案し、整備期間を短縮したことも評価されての設計者決定と思われる。設計者の提案として、個室率の向上、居場所の多様化、看護拠点の分散化と物品搬入と管理の配慮、可変性のある病棟計画等々、様々な提案がなされ、しかも病院側との密接なコミュニケーションを経て、相互に納得してきめ細かく実現されている。これらのプロセスについて病院側からも高く評価されている様子を感じることができた。緩和ケア病棟周りなどの多様な居場所づくり、ボランティアによる植栽等の手入れ・管理の充実が特筆される。急性期病院にどれだけ必要かという議論もあろうが患者の多様な居場所の実現等建築的提案にも新鮮さがある。地元産材を多用し、丁寧に計画された質の高い詳細設計による優れた療養環境の実現に敬意を表したい。与えられた条件を満たすだけでなく、それ以上の環境を積極的に実現していると感じさせる作品である。

今後、外来棟、中央診療棟などを整備していくことになろうが、今回の計画をいかに止揚して行われるか注目していきたい。

千里リハビリテーション病院
リハビリテーション病院 近畿 2007

2009年受賞

選評

リハビリテーション・リゾートというコンセプトを打ち出した運営者の気持ちを最大限に生かした質の高い環境とサービスが相まった建築である。

狭小な敷地の中に、中庭や吹抜けなど複雑に入り組んだ構成であるが、適切な距離感で快適におさまっている。

回復期リハビリテーションであるが、大きなリハ室はなく、日常生活の中での訓練を前提とした運営が特徴であり、基準をはるかに超えるPT やOT だけでなく、園芸療法士やアロマセラピストなど多くのスタッフに支えられた治療方針がある。またそれを支える空間としては、たとえば、病棟から共用部へ行くのにいったん外へ出ること、和室にある段差、あえて手すりを重装備化しないなど、訓練の場の提供を試みている。

全個室で質の高いハウスキーピング、洗練された家具選択なども特徴であるが、一般的な料金の範囲内で提供している点は、運営のうまさであり、患者の満足度も高いことが推察される。

愛知厚生連
渥美病院
一般病院 中部 2000

2002年受賞

選評

患者中心の医療理念が、プライバシーと個別性の尊重を主要テーマとした計画に見事に具現化された病院である。プロムナードを軸として光庭を効果的に置いて、外部からも認識しやすい形態によって分かりやすい外来空間、それと明確に区分された待合スペースおよびゆったりした個室診察室からなる外来部。個室率40%にも拘わらずコンパクトにまとまった病棟では、2つのウイングに配したサテライトステーションにより直接看護率の向上に向けた平面型の提案が生かされている。個室的多床室や看護単位の分節化など、この設計者の提案になる方式は広く普及してきているが、それらの更なる洗練や新しい工夫へのたゆまぬ挑戦は高く評価される。

あさかホスピタルA棟
精神科病院 北海道・東北 1999

2000年受賞

選評

精神病院の1病棟が対象であり、計画・設計時に議論を尽くした上でのユニークな試みに対する評価が、今後の全体整備方向(マスタープラン)との関係が見えないというマイナス評価を上回って選考された。

この病棟は従来の精神病院のイメージを払拭し、生活単位のグループ化によって患者同士の交流の場も十分に配慮し、しかも個人のプライバシーを尊重して居住性を重視している。開放的なナースステーションは見通しが良い割に開口部を分割して「監視されている」感じを与えない配慮をしている。スタッフ側の要求と患者の居住性を調和させているが、それには看護側と設計側の粘り強い議論が活かされている。  病室まわりのコーナー・造作家具・材質・寸法など細部にも様々な工夫があり、病棟のみとしてもローコストである割に品質が良い。

医療法改正が絡み、精神病院建築に新たな指針が求められている時期だけに、今後の精神病棟のモデルとして影響力を発揮し、強く波及効果を及ぼすことを期待したい。

稲城市立病院
一般病院 関東 1998

1999年受賞

選評

近年稀に見る話題作であり、選考委員会の議論を最も長時間占領した。一口で言えば「完璧に練り上げた病棟平面計画・病室平面計画」であり、そのことが他部門に及ぼした影響についてであった。4床室と2床室を交互に組み合わせ、全てのベッドに窓を設けて個室並みの居住水準・プライバシーを実現し、狭いながらきめ細かく配慮された分散便所・手洗いを設けた、いわゆる個室的多床室の提案である。また、三角形病棟の中央に配置されたナースステーションとナースコーナーが、一体的に配置されたHCUとの関係も含めて、見事に看護動線短縮に貢献している。同一階2看護単位の中央の処理も明快である。エントランス周りのゆとりと、外来診療部の分かりやすさも良い。計画上の問題点としては、病棟平面が優先で基壇部分にしわ寄せがきているとか、免震構造でコンパクトにまとめているが(狭い敷地条件もあって)将来の成長変化に対応しにくいとかの意見があった。さらに、計画面での明快さに反して、デザイン面で外観の暗い色彩とか、エレベーターホールの息詰まる狭さとかの不満意見もあった。個室的多床室の是非をめぐっては、看護の専門家を交えた激しい議論があり、ベッド同士が平行でない違和感と、それでこそ実現したプライバシーとに評価が分かれたが、今後の患者調査が待たれるということで一致した。

宮地病院
一般病院 近畿 1997

1998年受賞

選評

阪神淡路大震災で崩壊した民間病院の再建事例である。療施設近代化整備事業補助金により、狭い敷地ながら、正方形プランで5階建の箱の中に実に効率良く、極めて高度な機能内容をコンパクトに詰め込んだ。療養型と一般病床とが併存しており、転用可能な病棟構成に特色がある。国道に面した街中の地域密着型の小病院であるが、外観は普通の建物にすぎない。傾いて貫入したガラス壁の部分が目印となるが、このガラスの箱が抜群の効果を発揮するのは、外側のデザインではなく、そのインテリアにおいてである。斜めのモチーフは1階ホールにも生かされている。どのフロアもシンプルで心地良いインテリアデザインに満ちていた。材料、色彩、照明ともに秀逸である。

大牟田市立病院
一般病院 九州・沖縄 1995

1996年受賞

選評

敷地の高低差を利用したアプローチ動線の明解な処理、アトリウム方式をとらずとも適切なスケール感によって創出したなじみやすい玄関ホール、さらに分棟化構成は外来診療部へのとりつきやすさ、段階的待ち空間のよどみのない展開、中央診療施設への移行のしやすさ等を自ずと保障している。そして、パティオの導入は部門間の分離と連続を上手に使いわけてみせ、独自の空間を編み出している。病棟における4床室の入口まわりの記録台、ベッド頭まわりの収納具、廊下側の休息コーナーの採用等は、実現ずみの三角形病棟の系譜にてらしてみても成長がみられる。 手なれた技法に流されず新たな提案を持続する姿勢は、進展を続けるサイン計画と共に評価されてよい。

神戸市立西神戸医療センター
一般病院 近畿 1994

1995年受賞

選評

まさに西神ニュータウンの中心拠点に立地している。ために周辺建物群との景観のマッチングを図りつつも「繊細さ」を思わせるデザインは、抑えぎみな自己主張を唱えている。バランスのとれた各部構成はもとより秀れているが、この病院で特筆すべきは何といっても個室的多床室の試みである。すなわち4床室の4床各々が固有の窓と固有の床頭スペースをもち、一層のプライバシーを確保するといった画期的工夫である。個室にはない多床室の利点を生かしつつ、より個室的な環境の形成に、まずは成功しているといってよい。このような積極的試みの提案とその受容・実現に対して声高な賛辞を惜しむものではない。

いわてリハビリテーションセンター
リハビリテーション病院 北海道・東北 1993

1995年受賞

選評

この地域によく見られるマンサート型の屋根をもつアトリウムは背景の山並みに映えて印象的である。このアトリウムはコミュニティの「街の広場」を想わせるが、実は冬期の厳しい気象条件をさけて、入院患者の戸外的活動を保障するために取り込まれたものでもある。さらにこのアトリウムを軸として各部門が直結する、低層展開型のきわめて明るい全体計画を構成することで二重に成功している。患者が長期療養生活になじめるように病棟生活の小集団化と生活施設の充実にゆきとどいた配慮が見られ秀れている。

公立松任石川中央病院
一般病院 中部 1989

医療福祉建築賞1992【旧称:1992年(第2回)病院建築賞】

選評

外来診療部における診療室や受付カウンターのグルーピング、病棟におけるナースコーナーの設置の仕方など、分散と集中の仕組みのバランスがうまく機能している。サイン計画を含めて、パブリックスペースを中心としたデザイン的処理の密度も高い。物流の処理もよく練られ、搬送機器も巧みに導入されるなど細かい配慮も行き届いている。全般に運営と設計がよくかみ合い、経営もよく、諏訪中央病院での経験を前進させてより高い完成度に達している。

諏訪中央病院
一般病院 中部 1986

1991年受賞
【旧称:1991年(第1回)病院建築賞】

選評

地域医療への情熱と新たな病院管理方式の試みに燃える院長と設計者の共同制作による病院である。内科系・外科系ごとに共用処置室を設けた外来診療部平面、物品の供給・管理の一元化を追求した中央材料物品部(S.P.D)の確立と専用カートの開発、看護体制の再検討から導かれたナースコーナーを持つ病棟平面等、多くの工夫が見られる。 特にナースコーナーの試みは看護のあり方に対して一石を投じたものであり、固定化していた病棟計画への見直しをもたらすものといえよう。病院内外のサイン計画等にも新たな試みが見られる。

その他

大腸肛門病センター高野病院
一般病院 九州・沖縄 2017

作品選集2019
主催者名:日本建築学会

ゆうあいリハビリクリニック・デイケアセンター
クリニックその他 中部 2014

第49回SDA賞入選/主催者名:日本サインデザイン協会

長野県立こころの医療センター駒ヶ根
精神科病院 中部 2012

賞の名称/主催者名

  • 第45回中部建築賞・入賞(2013)/中部建築賞協議会
  • 第16回公共建築賞・特別賞(2018)/公共建築協会
  • 第16回公共建築賞・関東地区優秀賞(2018)/公共建築協会
しのだの森ホスピタル
精神科病院 関東 2007

日本建築家協会優秀建築選2008/主催者名:日本建築家協会

介護老人福祉施設
真寿園
高齢者福祉施設 関東 2002

賞の名称/主催者名

  • 蔵詩句大賞 新建築部門賞(2004)/特定非営利活動法人川越蔵の会
  • 川越都市景観デザイン賞(2004)/川越市
愛知厚生連
渥美病院
一般病院 中部 2000

第33回中部建築賞(2001)/中部建築賞協議会

金沢病院
一般病院 関東 1999

第21回 石川県建築賞・入選(2000)/石川県建築士会

松美苑
高齢者福祉施設 中部 1998

第20回石川県建築賞(1999)/石川県建築士会

公立松任石川中央病院
一般病院 中部 1989

賞の名称/主催者名

  • 第23回SDA賞(1989)/日本サインデザイン協会
  • 第21回中部建築賞・入賞(1989)/中部建築賞協議会
  • 第11回石川県建築賞・入賞(1991)/石川県建築士会
  • 第11回石川県建築士事務所協会会長賞(1992)/石川県病院建築士事務所協会
  • 第4回公共建築賞・優秀賞(1993)/公共建築協会