揖保川病院は兵庫県南西部の中播磨地域に位置し、2022年に開設60年を迎える精神科病院です。

心の安らぎを与える揖保川の豊かな自然環境に囲まれ、交通の便もよく通院しやすいこの地において、的確な精神医療を提供し、社会復帰できる医療機関として地域に親しまれています。公開セミナー、精神保健相談などの地域活動や在宅復帰支援にも積極的に取り組まれています。

今回増築した新第1病棟では、医療ニーズの変化と増加する高齢者や認知症患者にも対応し、患者一人一人の個別性を大切にしながら最新の精神医療を地域に届けるため、外来診療機能の拡充と療養環境の改善を行いました。

揖保川と前面道路が合流する鋭角形状の敷地に、揖保川堤防に沿って建つ既存病棟と前面道路の2つの軸を重ねた配置としています。2軸の交わる先端は、地域の伝統的な建築物にも使われている「焼杉外壁」を思わせる金属板外壁のシリンダー形状とし、病院と地域、揖保川の景観を繋ぎ、地域に親しまれる建築となることを目指しました。

外来はプライバシーへの十分な配慮の上で、メインアプローチに向けて開放的なつくりとし、誰もが安心して訪れやすい外来としています。うつ病、不安障害等の精神疾患の治療に加え、幼児期から学童期の発達障害の子どもの思春期外来や、老年期のアルツハイマー病などの認知症を鑑別するもの忘れ外来など多様な病状の外来受診患者の増加に応えるべく、診察室を増やし、安心して待てる待合空間としました。限られた敷地に対して機能をコンパクトに集約しつつ、敷地の2つの軸線を生かして来院者と救急、スタッフ動線を明確に区分しました。

患者の高齢化に対応しつつ、入院患者の早期退院を実現するために、病室では個の空間を大切にし、選択性のある多様な居場所を病棟内に設けました。豊かな生活環境と、多種多様な疾患の患者を受け止める病棟ゾーニングにより、医療の変化にも柔軟に応える病棟構成としました。

新第1病棟完成に続き、既存棟1階をリハビリと地域交流の拠点とするための改修工事を実施し、新第1病棟診療部門とも連携を図ります。2022年秋グランドオープンの予定です。