国立病院機構いわき病院は、重症心身障害児(者)・神経難病の入院機能をもつ病院です。海岸線から100mほどに位置していたいわき病院は、東日本大震災で被災し津波の心配のない内陸部に移転することとなりました。

患者の療養環境の改善、スタッフの労働環境の改善と共に、地域への貢献も新病院設計のテーマの一つでした。イベント開催を想定した広めのエントランスホールに面して、地域の方々が利用できる多目的な部屋を配置し、来院者が利用しやすい計画としています。

2階の重症心身障害児(者)の病棟は、看護動線が短く運用に柔軟性のあるクラスター型の病棟としました。2つの病棟の接点に療育活動スペースを配置し、屋外デッキや病棟食堂と連結させることで多人数のイベントが開催できる空間としています。3階の神経難病病棟では様々なパターンの個室を用意し、窓高さを下げて視界を確保するなど、神経難病の患者特性に対応した病棟計画としました。

国の政策医療としての役割を担う病院で一般の患者利用は限られますが、地域の中で愛され続ける病院として新しい歴史を刻んでいただきたいと願っております。