私鉄とJRの乗換え駅に近く、賑やかな商店街に隣接する立地だが、建物高さに厳しい制約があり、かつ、周囲を建物に囲まれた不整形な敷地で、いかに高い居住性を実現するかが課題であった。事業性を高めるために、地下も居住空間とする必要があったことから、地下1階から2フロアを1つの単位として、両側に住宅の玄関がある共用廊下を1フロアおきに設け、それぞれの住戸が廊下の上を斜めに上がる階段により向かい側の上階と結ばれる「クロスメゾネット」という形式とした。その結果、通常見られる片廊下型の集合住宅では、共用廊下に面した閉鎖的な開口部しか設けられない寝室や水回りにも、採光・通風に優れた直接外気に面した開口部を設けることができ、住宅内部では、斜めに結ぶ階段によって空間に変化を与え、機能に応じて生活空間を明確に分離また、完全に屋内となった共用廊下は、寒冷時や強風下でも快適なアクセスを可能にしている。