加納岩総合病院は、救急対応と高齢者医療を軸とする急性期病院です。老朽化した既存病院の移転新築を行い、設立から60周年を迎えた2012年4月に竣工しました。

これまでの地域に親しまれ信頼されてきた病院の特徴をそのままに、より高度な診療機能を支え、利用されるすべての人々にとって使いやすく、やさしい建築とすることを目指しました。  既存病院は、道路からすぐにアプローチでき、「街のクリニックの集合体」のような印象のコンパクトな外来が特徴でした。新病院でもそのよさを受け継ぎ、街路を思わせるホスピタルモールを軸に、1階だけで外来機能が完結するように配置しました。一方で救急診療も充実させ、多様な施術が可能な手術室を用意することで、医療の高度化を図りました。

同一法人が運営する精神科病院の日下部記念病院に隣接することから、デザインコンセプトを生かし、外壁を分節化し、高さを抑え、暖かみのある白を基調に安定感のある外観を作ることで、桃源郷の中で地域の「安心」を表現しています。

掲載誌 ・雑誌

  • 『病院設備』 Vol.55 No.5(2013.9)