周囲に多くの自然が残る東京都町田市の西部に位置する民間精神科病院の敷地内増改築プロジェクトになります。4層分の落差のある傾斜地に高圧送電線が横切る敷地は、建物の配置に大きな制約を受けましたが、個別的な環境を確保した病室や豊かな周辺環境を生かした各種居場所を持ちつつコンパクトにまとまった病棟を実現することができました。急性期に対応した病棟や、地域の高齢化が進むなか、認知症や合併症に対応した病棟を4層重ねる構成となります。ベッドまわりでのケアがしやすく、かつ個別的な環境も確保できる個室的多床室とすることで、急性期にも高齢化にも対応が可能となります。その個室的多床室を3室向き合わせ配置することで廊下の面積は圧縮され、スタッフ動線の短縮・見守りのしやすさにつながります。またこれにより限られた容積を効率よく使うことができました。

アプローチ側の外壁デザインをタイルを組み合わせたチェック柄としていますが、「スタッフ」や「家族」が「患者」さんを支え地域生活を紡いでいることを象徴しています。
残る既存棟の改修も行い、病院全体がリニューアルされました。将来の既存棟建替えも視野に入れた配置計画としたことで、より一層地域の拠りどころとしての役割を担うための、未来へのつながりも確保されました。