沖縄県中部を診療圏として1982年の開院以来、地域連携に基づいた急性期を中心とする医療を担ってきた中頭病院は、2016年10月、旧病院から北東約900mの新敷地に新築移転しました。2002年に隣接地にて外来分離した「ちばなクリニック」を現地に残してのことです。

移転計画におけるコンセプトとして
①高度急性期医療の提供
②集学的がん治療の構築
③救急医療
の充実の3つが掲げられ、以下のように建築的な対応をしています。

①高度急性期医療の提供
手術室数を増設するとともに、ICU12床、HCU16床を整備しました。手術部門のある3階を高度急性期医療の中核フロアとして位置づけ、ICU・HCUや血管造影室、日帰り手術センター、循環器センター(病棟)を配しています。

②集学的がん治療の構築
手術部門の機能向上や手術室数増に加えて、新たに放射線治療機能が導入されています。外来部門では、血液腫瘍内科とブレストセンターを化学療法室に隣接させて設け、がん治療ゾーンを形成しています。内視鏡センターは、内視鏡室6室とTV室3室で構成されています。入院外来双方から利用されることから、2階に配置しました。

③救急医療の充実
年間6,000件を超える救急車受入件数に対応するため、救急部門の機能整備が図られました。観察室や救急初療室を充実させるとともに、隣接するCT・MRI等の画像診断室へは水平移動で、2階の内視鏡センターや3階の手術・ICUへは救急専用エレベーターで直結する計画としました。

掲載誌・会誌

  • 『医療福祉建築』 No.195(2017.4)