埼玉県内で8ヶ所目となる救命救急センターの整備を目的とし、今後そのセンターとしての機能を十分に果たすべく、ICU(20床)や救急部門等を既存病院の北側に増築した計画です。増築にあたっては、第三次救急医療機関としての機能を整備しつつも、既存病院との機能面やデザイン面での調和を重視し、また現行の診療機能を継続しながらも、仮設の建物を必要としない「居ながら増築」が可能な計画としました。
救急医療現場において、受け入れ患者搬送時の迅速性、及び救急処置作業の効率化は、重要課題の一つであると認識します。一方で、救急医療の場面でも、患者やその家族の居場所は快適な空間でなければなりません。
そこで、『機動性と快適性の両立』を本件のテーマとし、そこから導き出した次のキーワードを骨子に計画を行いました。
- 「優れた機動性の確保」に寄与する平面計画
増築棟は既存手術部や放射線諸室と近接し、緊急時の患者搬送に配慮した計画です。 - 患者にとって「快適で安心」な空間づくり
救急外来は受付から診察まで連続し、スタッフがいつも身近にいる安心感を提供します。 - 経済的かつ丈夫で可変性のある構造計画
鉄骨大スパン架構による、重要度係数1.25の構造方式です。 - 経済的で省エネルギーや環境に配慮した設備計画
可変性があり効率的な、空冷ヒートポンプシステムによる空調計画です。