神奈川県秦野市の市街地に建つ透析治療を専門とするクリニックです。
主たる透析室は、法人のコンセプトである、「ブースで囲まれたプライバシーの高い半個室の透析ベッドで構成された治療室」を実現しています。スタッフはブース間を巡回しながら見守るため、情報等の拠点を端部に設けました。一方で患者の高齢化や感染時などに対応するため、見守りを重視したカーテンで仕切られた室、感染時に外部から直接アクセスできる「完全個室」の治療室を用意しました。
週に数回治療に通い長時間過ごす患者のために、日常に寄り添いリラックスできる空間を追求しました。照明や患者のアメニティにも配慮し、特に透析中に長時間見上げる天井は、間接照明で柔らかく自然な明るさを確保し、手元灯とあわせて個々の環境を選べるようにしたほか、ブース内の各装備も詳細に配置を検討して決定しました。
これまで法人が継続されてきた安心感のある透析治療がこの新クリニックで継承されつつ、地域のシンボル的な存在になることを願います。
〈建築デザイン及び色彩計画〉
敷地南側への低層配置、地域の基準に準じた色彩計画、再生木ルーバーや壁面の分節による周囲への圧迫感の軽減等、周辺環境へ配慮した地域に馴染む建築とする事で、日々通院する患者が気兼ねなく訪れることのできる建築を目指しました。
片持ちの大きな庇は機能的でありながら人を迎える象徴的な空間として作り、待合空間については、異なった環境の待合を複数作ることで、限られた面積の中でも自身に合った待合場所を選択できる計画としています。
「患者様一人ひとりを大切にケアする」という法人の理念の基に、患者の日常の一部となる空間が、より豊かであり、安心感を持って過ごせる環境となるよう設計をしました。