多治見市民病院は、多治見市とその周辺地域の中核病院としての役割を担ってきました。しかし近年の多様なニーズに応えるため、診療体制の充実を図るべく社会医療法人厚生会の経営となり、併せて現在地にて新しい病院を建設することになりました。

今回私たちが大切にしたことは、患者さんの立場に立った分かりやすい建物をつくるということです。近隣に立つ3次救急を担う病院との機能的分化を明確にするためにも、地域の人々にとっての分かりやすさ、親しみやすさを創出することが重要と考えました。一方で民間病院のノウハウを活かした機能性、効率性を実現していくことも重要な目標でした。スペースの有効活用、将来を見据え、変化に対応できるハードづくりを心掛けました。

また今回のプロジェクトは全体工期短縮とコスト削減を目的として、デザインビルド方式が採用されました。その中で私たちは、計画全体をコントロールする役割として、基本設計、詳細設計監修、工事監理(詳細設計・施工:戸田建設)、を担うことになりました。通常と異なり、施工者とともに設計をまとめるプロセスの中で、これまで以上に私たちのコンセプトを明確にし、計画をリードすることが求められました。

掲載誌

  • 雑誌 『建築ジャーナル』 東海版 No.1228(2014.9)