大震災からの迅速な再生

この計画は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって全壊した精神科病院の震災復興プロジェクトです。隣接する老人保健施設(以下老健)を建設してから10余年が経過し、次は病院の建替計画を進めるための準備委員会の設立を検討し始めている時でした。

幸いにも死傷者は一人もでず、新耐震構造で損傷のなかった老健に、職員も含めて一時避難することができたそうです。その後、老健を建設した地元の建設会社の迅速な対応により、総力を挙げて集めたコンテナハウスを利用した仮設病棟が4月末に完成しました。弊社が設計者としてお声掛けいただき、現地を訪れたのはちょうどその頃です。

患者さんに一日でも早く新しい病棟で生活してもらうために設計・施工期間を最短にすることが大命題となりました。しかし、建てるからには入院患者さんが快適で安心して過ごせる環境を提供すること、そして永く地域の精神医療の核になりうる病院にする必要があります。スタッフの方々との協議を進め、工事着手したのは年の明けた1月でした。

工事中は、震災による資材不足・職人不足のあおりをもろに受けましたが、地元ネットワークを活かした職人召集により、震災から2年後の2013年3月11日には、無事に新しい病棟での生活をしていただくことができました。