生まれ変わる街並み

住宅地としては人気の高い活気ある街だが、街並みとしては何処か雑然とした感じを受けるところに立地する。今後緩やかに変化する街並みを意識しつつ、大型マンションとは異なるアプローチで、良質な「大きな家」として、将来とも良質な住環境のストックとなり得るデザインを試みたプロジェクト。

力強いスクエアなボリュームと曲面バルコニーとのコンビネーションによる異なる形態・素材の構成が、個性的な表情を魅せてくれる。「大きな家」の象徴でもある片流れの大きな金属屋根が、落ち着いた雰囲気を醸し出している。また、二丁掛タイルをベースにしながらも力強いコンクリート打放しを折り混ぜた構成とすることによって、素材そのものが持つ表情により豊かなリズム感のある空間をめざした。

エントランスホールから住戸の玄関に至るルートは単なる移動空間ではなく、住人相互のコミュニケーションの場となるような工夫を心掛けた。エレベータを待つ場所は駐車場からのアプローチも兼ねているが、近くに玉砂利と飛び石をデザインした小さな空間がある。飛び石を歩きながら、ときどき砂利を踏む音を聞き、植裁についた雨粒や心地よい風を感じるなど、ほんの少し自然を感じることで豊かな気持ちが持てる空間とすることができた。