こころ癒される「隠れ家」

多くの歌人にも詠まれた須磨の浦を南に望む山麓の駅前に立地する。駅を中心とした街は雑然とした印象を受け、住環境としては利便性が優位にたっていると感じられるが、山と海を体感できる地に相応しいシンボリックで躍動感ある共同住宅をめざした。

住まいの最小単位である「個」の「集合体」を意識しつつ、こころ癒される「隠れ家」である住空間(プライベート)と地域社会(パブリック)を段階的に繋いでいく空間づくりを心掛けた。

朝陽を受け止めるかのように真北から東に23.4度傾けた壁を、5階から10階のバルコニー、エントランスのキャノピーやSignWallに大胆に採り入れることで「集合体」に力強い方向性を与えると共に、居住者を遠近から心地良く出迎えてくれることを期待した。

力強いシャープな壁面と、柔らかい曲面のバルコニーを段階的に組み合わせることで、「個」を意識した個性的な表情が現れ、45角モザイクタイルの曲面と、力強いコンクリート打放し仕上げのシャープな壁面は、エントランスにいたるまで統一されたデザインとしている。

SignWallに誘われてくると、石畳(石調タイル)が道路からエレベーターホールまで一直線に伸びている。 エントランスホールとガーデンテラスは内外一体的な利用が可能な連続した空間で、ウッドデッキのテラスに樹木が建並び、こころ癒される「隠れ家」に相応しい空間となった。 エントランスから住戸玄関にいたるまで、空間がお互いに手と手を取り合うように仕上が折り重なるように構成している。 日常社会から「隠れ家」にいたるアプローチを自然に感じ、心安らぐ空間体験をしていただきたい。