JR山梨市駅周辺開発に伴う市道拡幅工事で立ち退き対象となった市内唯一の産婦人科医院を、山梨市が土地を確保し建物を建設する計画です。

減少傾向にある地域の産科医療施設を確保するため、全国初の試みとなる公設の運営手法による19床の診療所になります。

建物は”森の中のマタニティクリニック”をコンセプトに、森の力がこころと身体を癒やし、豊かで快適な環境で出産を経験することができる医院となるように計画しました。

限られたスタッフで充分なサービスを提供するため為に、外来・診療・病棟を1つのフロアにまとめました。建物の中央に診療部門を配置し、外来、病棟が取り囲むような形としスタッフは各所へ最短距離でアクセスできる様にしています。ほぼ平屋の建物はいずれ豊かな緑の中にうずもれ、まさに”森の中のマタニティクリニック”を体現することになります。

甲府盆地にある山梨市は、晴天率が高く日中は日差しが厳しく、夜間になるとぐっと冷え込む環境にあります。この様な環境から快適な内部空間ができる様に、外断熱工法を採用しています。躯体の外側に断熱材を貼ることで厳しい外部環境から隔離し、コンクリートを蓄熱体とすることで光熱費、特に暖房費が抑制出来ます。また、地域の豊富な地下水熱を利用した外気処理システムを採用し省エネルギー性にも配慮しました。

新しい命が誕生する場所としてふさわしい環境となるよう、スタッフが快適に働き、患者が安心して過ごす日常を、おおらかに包み込む建築を目指しました。