阪神淡路大震災による再建を期に、地域に根付いて暮らす高齢者をいかに支えるかを模索し、事業展開してきた宮地病院が、新たに50床増床の機会を得て、入院機能中心のリハビリ病院として「本山リハビリテーション病院」が誕生しました。「入院生活のあらゆる局面がリハビリにつながる徹底した空間づくり」と「かつての神戸らしさをイメージできる地域になじむ建築」をコンセプトとして取り組みました。

外装は、神戸で親しまれてきた近代建築(石積とレンガ造)の面影を取り込み、病棟の木部は濃い目に染色し、少しレトロな雰囲気を持たせています。症状と向き合いつつも、あわてずゆっくりとリハビリに取り組むために落ち着き感を大切にしました。

入院生活の全ての行為がリハビリにつながると考え、洗面、身づくろい、排泄などのプライバシーを大切にしたい基本動作を病室周辺で行うことができます。食事やコミュニケーションを楽しむダイニングやリビングは、生活の場(病室)に近づけ、そしてより高いステージでのリハビリの場は、病棟の少し離れた場所や階を変えた魅力的な空間に移動してもらう設定としました。街中の限られた環境の中、自然な形でリハビリにつながる空間構成を目指しました。

掲載誌

  • 雑誌 『建築ジャーナル』 西日本版 No.1228(2014.9)