神戸市東灘区にあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。長年暮らしてきた自宅での生活が不安になったとき安心して生活できるサ高住は、「可能な限り自立した生活が可能なコンパクトな個室」と「お互いの生活が自然に交じり合うことで支えあう」ことが大切であると考えました。多くのサ高住は25㎡程度の一般的なワンルームマンションのようなタイプですが、ここでは全く異なる建築構成を提案しました。

個室は流しとトイレが付いた18㎡というコンパクトな空間ですが、介護度が上がってもベッドレイアウトが変えやすく、車椅子もトイレも利用しやすい寸法・配置を追求しています。その個室7つをひとまとまりにし、ひとつの新しい「家」と考えました。この「家」を3つの房としてL型に配置した構成です。個室が面するホールに小さなリビングがあり、その先に大きなラウンジやキッチン、浴室等を設けています。小さな個室から出てこれらの機能を使い、住民どうしで自然な交流が生まれることを期待しています。

この地の象徴である神戸の海と六甲山の緑を楽しめる恵まれた環境で、医療・介護の支援を受け共に暮らすことで安心が生まれ、自分の生活を楽しみ、社会と関わりながら、新しい生活を豊かにすることができる住宅が完成しました。