川越市の中心部にあり、長きにわたり地域医療の中核として貢献を続けている救急指定病院の増築計画です。第7次埼玉県地域保健医療計画における病床整備において、50床の地域包括ケアの増床許可を受けたことから、病棟の増床に合わせて、医療機能のさらなる拡充を図っています。

外来エリアの拡張、手術部門の増室整備をはじめとし、血液浄化センターの新設を行っています。既存棟とは各階フラットで接続することで、往来に支障のない計画としました。

病棟は増築棟と既存棟とで一つの看護単位となる構成です。それにより増築棟側の病室と既存棟側のスタッフステーションとの距離が長くなるため、増築棟側へサブのスタッフステーションを設けました。加えて、汚物処理室、器材庫、収納庫を増築棟側にも分散的に設けることで看護動線がコンパクトになるように配慮しています。4床室ではベッド間に患者用ロッカーを配置することで、療養空間に個別性を持たせました。また、医療ガス端末を未使用時には隠すことのできる木製の医療用コンソールとすることで、空間に落ち着きを生み出しています。少しでも建物が治癒に寄与できるよう心がけてのことです。

本増築計画は増築の2期目であり、2007年には病院に隣接する廃業した映画館を病院建物として改修する設計に携わりました。本計画により本館を中心とした3棟の建物で構成することになりました。外観デザインは一施設として認識してもらえるよう既存建物の構成要素を取り込んでいます。観光地に近接していることもあり、街並みに馴染みつつ、医療施設として安心感のある建物づくりを目指しました。