本計画は、開院以来、岐阜県東濃・可児地域における基幹病院として、高度急性期・急性期医療を提供し続けてきた岐阜県立多治見病院の中央診療部門と一部病棟を増築する計画です。外来・放射線診断・手術部門などのある中央診療棟を病院南側駐車場跡地で建て替え、診療機能の機能統合・効率化を図ります。新棟の12階に外来、救急など患者さんの利用頻度が高い部門を配置しています。35階には病棟、内視鏡、救命救急センター、手術部門を配置しています。
設計に当たっては特に以下の点を重要課題としてとらえ、計画を進めました。

■患者サービスの向上
フロア全ての外来受付を一望できる外来モールや視認性の高い吹き抜けを設け、患者さんにとって現在位置がわかりやすい平面・断面構成としました。また患者さんが落ち着いて治療を受けられるように清流の国、岐阜県にふさわしい青色をポイントカラーとして清涼感を持った落ち着いた内装空間としました。

■診療機能の効率性・安全性の向上
効率的で安全な救急搬送動線の効率性向上を目的として、下階の救急(1階)から上階の内視鏡(3階)や手術部・救命救急センター(4階)、さらに屋上ヘリポートへ直接アプローチできるエレベーターを配置しました。

■防災対策の強化
災害拠点病院として大規模地震にも対応できる免震構造を採用しています。また内水氾濫などの浸水を防ぐため一部のエレベーターには浸水対策を施し、敷地境界に沿った壁堤防の設置も今後予定しています。

■地域ブランドの活用
岐阜県産材の東濃ヒノキを用いたカーテンウォールや地元で生産されるタイルを外壁・サインに使用しています。照明においても地域資材の美濃和紙を使用することで利用者さんにとって温かみのある空間を創出し、地域の顔となるような建築を目指しました。

■将来展開への備え
将来的に既存棟が解体されエントランスなどが再編された場合に備えて、動線計画をあらかじめ想定しておくことが重要と考えました。木カーテンウォールのホールは将来的にはエントランスアプローチにふさわしい空間へと場面転換します。