幅員4mの公道を挟む大小2つの敷地にそれぞれ機能を与え、これを道路上空の渡り廊下でつなぐことで地域に開く精神科医療施設+社会復帰施設を体現したダイナミックなプロジェクトです。

南北に細長い特徴的な敷地形状を利用し、長辺方向に接する幅員4mの公道と建物との間に地域の方々が自由に行き来できる遊歩道を設置しました。住宅地から駅への通勤通学ルートや散歩道として日常的に利用されています。また建物ファサードは個室的4床室の凹凸を利用して壁面を分割し住宅地に溶け込むデザインとし、これらにより街並みを形成することを意識しました。

遊歩道と並行し、1階内部には病院のメイン動線となるギャラリーストリートを、さらに内側にスタッフ諸室をつなぐスタッフ専用通路を設け、動線を整理しています。

2・3階は病棟入口の手前にラウンジ空間を設け、病棟内外をつなぐ中間領域を作り、運用に応じて幅広く活用できるスペースとしました。病棟内は細長い建物形状を活かしてスタッフステーションから病室が適度に見え隠れする配置構成とし、患者-スタッフ間に程よい距離感が生まれることを意図しています。

病院棟(A棟)は1年先行して竣工した法人本部、社会復帰支援施設、就労支援施設、カフェなどが入る複合ビル(C棟)と道路上空の渡り廊下でつながりました。3棟が完成し、A棟とC棟のつながりが訪れる人を迎え入れるゲートとなり、日常的に使われる遊歩道から違和感なく病院へアプローチできます。地域とのつながりを大切にする法人理念をかたちにできたのではないかと思います。