平成元年の全面建て替え以来、その時々の医療制度やニーズに合わせて増改築を行ってきた既存精神科病院の増築工事です。県内の精神科救急医療を担うスーパー救急病棟の再編にあたり、保護室8室を計画しました。

設計中に全国で新型コロナウイルスの感染者が急増し、感染症患者の受け入れを視野に入れる必要が出てきたため、よりハードな設えの4室に、廊下から独立した観察室を設けました。これはもともと患者とスタッフの対話や食事の配膳を、他の患者を気にすることなく行える場として提案したものですが、感染症患者が入院した場合には防護具の脱着や洗浄・消毒を行うイエローゾーンになります。また、廊下には全開放できる扉を2室毎に設け、扉を閉じることで廊下を分割し、感染利用時にも病棟全体を閉鎖することなく運用することができる計画としています。感染症に備えつつ、普段の利用勝手に支障がないよう配慮しました。

8床の増築ですが、これにより病院が抱えておられた慢性的な保護室不足が解消され、病室機能強化につながったと考えています。

入院治療の入口となる保護室で、安全性やプライバシーを守りつつ、心を落ち着かせることができる環境づくりを目指しました。病室やデイルームの窓上部から見える空が、患者の顔を自然に上にあげてくれることを願います。