医療福祉建築研究会の取り組みから見えてきたこと

私たちは医療福祉建築の知見を深め、各プロジェクトに活かしていくための活動として通年で「医療福祉建築研究会(以下、医福研)」を社内で開催しています。やや特殊な病院建築設計の研修や、講演会参加者による報告会などをこれまで行ってきました。設計の初心者から熟練者まで、実務のみにとらわれず基礎を固めて情報のアップデートをし、共同建築設計事務所の理念を再確認する活動となっています。

このような中で2020年、私たちは新型コロナウイルス(COVID-19,以下、新型ウイルス)に直面しました。これまで協働してきた医療、福祉の現場がいままでにない困難に立ち向かう姿を目の当たりにして、医福研の中で本年前期のテーマを「新型ウイルス」にすることは自然な流れでした。

まだ未知の部分が多い新型ウイルスですが、緊急事態宣言以降のクライアントからのご要望、医福研で所員が共有した様々な機関から発信される新型ウイルスの情報から見えてきたことがあります。それは、これまでも共同建築設計事務所が大事にしてきたことをより丁寧に掘り下げることが、新型ウイルスから身を守りながら臨機応変で持続的な医療福祉建築/施設の運営を可能にするのではないか、という手ごたえです。

これまでは、感染症対策という視点では大きく語られることがなかったものの、私たちが様々な医療福祉建築の設計の中で大事にしてきた4つのキーワードと事例をご紹介し、今後の計画の視点として提示できればと考えます。

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