自然に開き地域とつながるホスピタルモール
-青森市立浪岡病院-

モールと病棟に囲われた広場(工事中のため一部 CG 合成 病院ホームページより)

旧浪岡町の町立病院として誕生した浪岡病院は、青森市と合併後、青森市の病院群と機能分化・連携を図りながら、在宅医療・地域包括ケアシステムの中核を担う病院として建替えられることになりました。

建替えにあたっては、受診・入院機能、救急医療・災害時病院機能の維持、そして医療連携体制の強化が目的として示されました。

患者・利用者に優しく、職員が働きやすい施設

広場に面してガラス張りのホール・モールを配置する事で、中の様子が分かり、近づきやすく入りやすい施設としています。平屋で計画し、誰にでも優しく、安心できる施設としました。 診察や検査等、どこに行くのにも見通しの良いモールからアプローチする事で、分かりやすく迷わない施設としています。

地域に愛される病院

ホールは、広場に面して開放できる構造で、内外一体の運用が可能です。気候の良い時期にはイベント等を通して、地域コミュニティー形成の役割も担います。内装には青森ヒバやねぶた和紙など地元産の建材を多用し、地域の記憶を継承する事を目指しました。

地元の木材を使用したホスピタルモール

漆塗りの技法を応用したスタッフステーションサイン

ホール・ホスピタルモール・広場の繋がり

将来への可変性

設計時、将来介護施設への転用の可能性が示され、平屋の採用はその解決策の一つでもあります。共用スペースの一部を改装する事で、独立した玄関が確保でき、診療部門と動線が交わらない運用を可能にしています。4床室は個室に変更することを視野に入れて計画しました。(図1)

開院後、IoTを活用した「オンライン診療」「見守りサービス事業」などがスタートしました。地域包括ケアシステムの進化・変化に対応できる柔軟性が建築にも求められています。

図1:青森市立浪岡病院 将来への可変性の提案:平面で分離を想定


建築概要

建築主: 青森市
所在地: 青森県青森市
病床数: 35床
構造規模: 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地上2階
延床面積: 4,023㎡
竣工年月: 2021年5月
撮影: 外観のみ病院のホームページより
その他所員

 

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